人格否定されてきた歴史
自閉症は「相手の気持ちが分からない」「こだわりが強い」ため職場、学校で対人関係の問題を抱えることが少なくなかった。そのたびに「親の育て方が悪い」「性格が歪んでいる」など人権侵害といえる誹謗中傷で本人・家族が悩まされてきた。
たんぱく質の低下が原因
しかし、従来から専門医の間では先天的な脳の機能低下が主原因であるとの見解が示されていた。今回、森則夫浜松医大教授らの研究チームが「人の感情などにかかわる神経」の機能が低いことを脳画像診断で初めて確認した。
うつ病にも関連する神経伝達物質「
セロトニン」にかかわるたんぱく質の機能が自閉症でない人と比べて約3割低下していた。
差別をなくしたい
辻井正次中京大学教授は「自閉症は育て方の問題ではなく、明確な脳の障害があることが見いだされた」と話している。脳の障害であることがはっきりしたことで治療法の開発に加えて、社会的理解にもつながると期待される。研究成果5日、米専門誌「精神医学アーカイブス」で発表された。