周囲の偏見
「
バンダイナムコウィル」で働く椎名太一郎さん(25)には自閉症がある。自閉症は「相手の気持ちが読めない」「強いこだわりを持つ」などの特徴を持つ。このため周囲から誤解を受け、「親の育て方が悪い」などの偏見にされされることがある。
時間をかけて説明
「楠の木学園」を卒業後、学園の紹介でホテル清掃会社に就職した。職場では無難に仕事をこなし周囲の評価も高かったが突然、出勤を嫌がった。学園で担任だった先生が自宅を訪れ理由をたずねると「好きだった上司が転勤し、担当の部屋数が多すぎる」と答えた。その後、バンダイナムコウィルの求人に募集した。実習中に社長の鈴木さんが「前の仕事と今の仕事はどっちがいい?」と尋ねると、「ホテルがいいです」とはっきり答えた。慣れたホテルを辞めたわけでもないのに「実習」をする意味がよく理解できていなかったらしい。
「こだわりの強さ」を逆手に
仕事ぶりを評価していた鈴木さんから、要点を紙に書き出し「嫌でないのなら新しい仕事にはいいところがあるよ」と時間を掛けて説明された。椎名さんも納得して正式採用となった。
仕事ぶりは正確だが、時には失敗もする。自閉症ゆえの「こだわりの強さ」を生かして安定した働き方をしたいと、日々、黙々と頑張っている。