生育環境は従業員の健康や能力に影響する
社会経済的に粗悪な生育環境で育った人は、健康問題や雇用問題を抱える傾向が高い――。障害者に焦点を当て、イギリス企業から主に支援を受けて活動している企業組織「障害に関する雇用フォーラム」が、そんなことが最近の研究でわかったことを明らかにした。
マイケル・マーモット卿の司会のもとで行われた報告によると、特権を持たない階級でしつけを受けてきた人の中には、能力の低い人の割合が多いという。
「平等な社会、健康な生活」と題した報告の概要では、格差の原因となっているさまざまな不平等さをなくすため、順を追って対応するという方法に言及している。
能力差を縮めることは可能
報告の中では、健康上の問題の有無を判断するための線引き基準を上げると共に、偏見のない雇用機会を創り出す(これはいずれ従業員になるであろう人々にとってもプラスになる動きである)ことが提言された。
資料の中でこの件は「貧しい地域に住む人々は、寿命が短いだけではなく、その短い人生の中のより長い時間を低い能力を抱えて過ごすことになるのだ」と述べられている。一方で、「効果的に(対応を)変えていくことが、結果的には生産性という側面においての経済効果へつながっていくだろう」との見方を示している。
教育水準局(教育機関を監査するイギリスの中央行政機関)による最近の調査では、地元の企業が助言や指導をしてくれる場合、能力の低い人が働くことの壁を乗り越えやすくなるらしいことが明らかになった。
(編集部 小川優子)
Report highlights employment impact of health inequalities