冬季うつ病を抱えながら働く人々
季節性の障害、冬季うつ病というものを知っているだろうか。冬の間日光にあたる時間が短くなることにより発病し、うつ病と同様の症状がでる季節性の疾患である。
障害を理由に雇用主が従業員に対して差別を行うことを連邦法で禁じているアメリカ。冬季うつ病を抱える人の中には、勤務スケジュールの変更を認めてもらう、席を窓の近くに移してもらう、など様々な対応を受けている人もいる。一方で、障害そのものを理解してもらえず、気分が乗らないだけだろう、と訴えが一蹴されるケースもある。
司法は「差別」を認めた
ある元女性教師は、元勤務先である学校を管轄する学区に対し、冬季うつ病を患っていた当時、日差しが入る教室を担当させるなどの対処をせず、症状が悪化したとして訴訟を起こした。控訴裁判所は判決で、対処があれば元教師の症状の改善は可能だったと指摘している。
またある医療機関勤務の女性は、元勤務先でうつ病に対する適切な対処が受けられず、結局解雇された。この元勤務先である病院は、のちに雇用均等委員会で雇用差別を行っていたという判定が下された。
アレクサンダー・ハミルトン社が出版する雑誌『現代の雇用法』では、前述の判定に対する記事で季節性疾患への対処について特集している。だが編集者のグロリア・ジュウさんは管理職についている女性読者から「ばかばかしい」との意見がメールで寄せられ、がっかりしたのだという。
「その方は『冬場に気分が乗らなくなるのは誰でも同じ』と冬季うつ病の存在を一蹴していました。まずは季節性疾患を含むうつ病というものは障害であるという認識を持ち、真剣に向き合わないと」とジュウさんは語っている。
(編集部 小川優子)
When winter blues become a disability季節性情動障害(冬季うつ病)-Wikipedia